青春やえざくら×Da.I「SIRU EPのアートワークや、時ノ歌詠み「いつか会えたらのイメージアートワーク、そして時ノ歌詠みのアルバム「時ノ歌詠み」のアートワークを手掛ける、我々ハローグッバイレコーズと関わりの深い作家"technos28"氏に、レーベルオーナーであるDa.Iがメールにてインタビューを行いました。

時ノ歌詠みのアートワークが生まれた経緯、technos28氏にとっての絵を描く事とは。創作する事とは。 

 

 

はじめに簡単な自己紹介をよろしくお願いします。

Technos28(以下T):technos28といいます。達磨模様という反復する模様を主に描いています。少し前までは人物や動物などの具象画と達磨模様を組み合わせたスタイルで描いていました。今は電球や看板などの発光体と達磨模様を上手く組み合わせられないかなぁ~と試行錯誤しています。

 

 

-technos28(テクノスニジュウハチ) プロフィール-

人間の美的感覚を生身で直接出力することを軸において活動。

達磨模様を発光体に調和させるスタイルで作品を展開。


■絵を描きはじめたのはいつ頃からでしょうか? またそのキッカケは? 

T:小さなころから描いていた気がするので正直覚えてはいないですね(笑) 

ドラゴンボールの絵を透明な下敷きにひたすらナゾリ書きしたり、ガンプラの箱の絵を模写したり、いろいろしてましたね。

キッカケではないんですが、転機という意味では大友克洋さんの「AKIRA」を見た時が転機ですね。初めて目標ができたというか自分の中で

「僕もこんな風に描きてぇぇ!!」って思ったんです。こんな世界があったんだ!!っていう衝撃は忘れられないです。

 

■僕が最初にテクノさんの絵を拝見した時、絵からなにか"近未来的"な印象を受けたのは「AKIRA」からの影響が強いからなんでしょうか。

 「ドラゴンボール」や、「AKIRA」は漫画作品ですが、そこからどうして現在の様な達磨模様を描こうと思われたのですか?

 

T:そうですね。元々SFが大好きでAKIRAの影響もあって機械とかメカニカルなものを線画で描いていたんです。そのうち線画に色をつけてみたいなぁーって思って、漫画のカラーページとかに使用されるマーカーで色付けとかしてたんです。

そしたらそのうちガッツリ絵具とか使って絵が描きたくなってきて、徐々にペンから筆にシフトしていったんです。でも描き方が全然違うんですよね。筆の運び方とか。。もうまったくイメージ通り描けなくて。頭ひっくりかえっちゃって。そんな時に当時、"relax"って雑誌があって"HVW8(ヘビーウェイト)"っていうアーティスト集団の特集をしてたんです。そのアーティストが描く絵のスタイルが人物や動物などの具象画と模様の抽象画を組み合わせたスタイルで、あ、こんな感じの描きたい!ってなって。

それから試行錯誤していく内に模様の部分はオリジナルを模索したいなぁーてなって、それで達磨模様を描き始めたんです。

 

(画像はtechnos28氏が書いたもの)


■なるほど。その具象画と抽象画の組み合わせが、音楽でいうと「HIPHOP」に似ている様にも感じました。

 具象画を"サンプリング"だとすれば、そこに抽象画を足すことが、そのサンプリングソースに「エフェクト」を掛けることやアレンジ、加工することに似てい

 るなと。テクノさん自身は「HIPHOP」を聞かれるそうですが、「HIPHOP」の要素の一つの「グラフィティ」、その辺りの影響などもあったのでしょうか?

 

T:ありますね。育ったところが結構盛んなエリアで小さな頃から目にしていましたし、ゴーイングオーバー※とか行政のバフ※が激しくて、日々変わる光景に目を奪われてました。そうなると自分でも描きたくなってしまって、一時期グラフィティのようなものをグラフィティだと思って描いたりもしていました。今思えばそれはどんなにスキルフルでも文字フォントに過ぎなかったんですけど。

僕はグラフィティは視覚的なアプローチだけでなく、行為であったり、マインドであったり、カルチャーだと思っているので僕自身は外側からそのカルチャーに影響を受けた感じですね。 

※ゴーイングオーバー:ライターが他のライターのグラフィティを上書きする事

※バフ:消すこと

 

■今回、描いていただいた「時ノ歌詠み」のアートワークはCDジャケット表面と内面の2点ありますが、どういったイメージやコンセプトのもとで制作されたの     でしょうか?

T:もともとDa.I君の方から心臓、時計、音、この3つのキーワードで絵を描いてほしいというコンセプトを頂いたんですけど、頂いたコンセプトだけで絵を構成するのはなかなかむずかしいと感じてしまい、まとまりを持たせる為につなぎになる要素をこちらで提示させてもらって制作を始めていった感じですね。

 

内面の絵は「装置」をつなぎに提案させてもらいました。

コンセプトは、

 

「心臓の鼓動、振動を動力源とし、歯車が動き、小さな歯車は大きな歯車を伝わっていき、時計を動かします。時計は時間の概念だけを音として表現するものと位置付け、長針も短針も無くあくまでも時間を刻むのは心臓。時計が音として刻むBPMをメーターが表示し、紡いだ音楽はスピーカーから出力されます。」

 

って感じにしました。

 

 

表面の絵は「旅路」をつなぎに提案させてもらいました。

コンセプトは、

 

「1匹のラクダ。ラクダは背中に沢山の旅人を乗せて旅を繰り返してきました。短い旅もあれば、長い旅もありました。旅人の中には帰路に着く時、ラクダに御礼の贈り物をして帰る人もいました。ラクダといつも一緒に時を詠みたいと自分の心臓をおいていった西の魔法使い。大切な時計の長針と短針を抜いて置いていき、また一緒に旅をするまで時を止めた吟遊詩人。ラクダとまだ見ぬ次の旅人が音楽を楽しめるようにと、楽器を置いていった音楽家。他にもたくさんの人がラクダに贈り物をしていきました。人々の思いは自然と交差していきます。何年、いや何百年もたった頃のある日、ラクダの背負った多くの人の思いが心臓の鼓動に伝わり針のない時計を動かし、刻みだした時が音となり流れるようになりました。心地いい音楽に囲まれて、ラクダは美しい人生の和音に誘われてくる次の旅人を今も待っています。」

 

って感じにしました。

普段こんなにコンセプトをしっかり考えて絵を描くことはないので面白かったですね。やり取りしてる当時、Da.I君の熱量の高さも凄く感じてて、これはマジで考えようって思ったのを思い出します。

 

 

(画像はtechnos28氏よりいただいた原画スキャンデータ)

■頭の中のぼやっとしたイメージを伝えきれず熱量でカバー(誤魔化)していたのかもしれません(笑)

    出来上がった絵を拝見してから、より時ノ歌詠みの楽曲の世界観の構築が進みました。まだアルバム収録曲が全然出来ていない段階でこのアートワー       クをいただきましたが、この絵の力に引っ張られてアルバムが完成したような気がいたします。

  実際にパッケージングされたアルバムを手にとって聞いていただきましたが、アートワークを制作された側として、何か感じるものはありましたでしょう

    か?

T:絵に引っ張られたってのは嬉しい言葉ですね。ありがとうございます!

アルバムを聞かせてもらって、あ、やっぱり世界観が確立されているなって思いました。描いてる時にkomeさんの声自体からそれを感じたし、それはアルバムを通して聞いてもぶれていないように感じました。良い意味で裏切られなかったというか、なかなか難しい事だと思うんですがそれができているって凄いなって思いました。

声は柔らかいのに一本、筋が通ってる感じ、好きです。

Da.I君のトラックには驚きました。こういうback in the daysな曲とかに使われる比較的ローテンポの哀愁を帯びたトラックのバリエーション付けって難しいんじゃないかなーとか、素人が勝手に申し訳ないんですが思ってしまって。制限された中での振り幅にびっくりです。

世界観の構築についてお尋ねします。

  テクノさんの描かれる作品はかなり独特の世界観が宿っていると思うのですが、作品を描かれる際に何かインスピレーションを受けているモノ、場所、事象など

  はありますか?絵を描き始める前、描き始めた頃の影響元はさきほど教えていただいたのですが、現在のテクノさんの制作の原動力となっているものを教えて下

  さい。

T:誉め方が上手いですねww 素直に嬉しいです!

一番の原動力は描いてる時のリアルタイムな出来事です。その時聴いてる音楽だったり、観た映画だったり、風景だったり。

街の騒音だったり、友達との会話だったり色々ですが生活の中からヒントやキッカケをもらってます。

さぁどんな絵を描こうかな、と考え込むというよりかは、映画を観てる時に凄くカッコいい俳優さんや女優さんを見て急に描きたくなったりしてます。人物画を描いてた頃は大抵、そんな感じでした。

今は発光体に興味があるので夜のお散歩に出かけたりして描きたい風景をサンプリングしています。

■日常生活が意識的にも無意識的にも「絵を描く」ということに繋がっているんですね。

  これは個人的に気になっている質問になるんですが、テクノさんは制作に行き詰まった時、所謂スランプに陥ったとき、どうしていますか? 

  自分はどうも気分転換が下手なので、何かアドバイスをいただければ嬉しいです(笑)

 

T:僕もあまり気持ちの切り替えが上手い方ではないのでアドバイスになるかどうかw

スタンダードな回答で申し訳ないですが極力、距離をとるようにしています。

上手い具合に描けなくなるってのは創作へのベクトルがねじまがっているわけで無理に前進してもフラットに頭のイメージをアウトプットでないと考えています。絵の場合、歪みは視覚的に自分でわかるので意識してなくても、アレ?みたいな時はおとずれちゃったりして。

そういう時は少し描くのを止めて違う事に気持ちをシフトします。

描けない時ほど描いて自分の位置を確認したくなるので距離を置くことがストレスにもなりますが、自分で自分をフックアップする過程と捉えて勝手に納得するようにしてます。そういう意味では最近大きな溝から出てきたとこなのでだいぶ距離とってよかったと思ってるところですw 

 

■「創作へのベクトルが曲がっている」という表現をはじめて耳にしましたが、なるほど確かにそうかもしれません。クリエイターは自分の中のものを真っす 

     ぐに、出来る限り"抵抗"を少なくアウトプットしようとしていると思うので、とても言い得て妙だと思いました。

  最後に少し意地悪な質問を!

  自分の思うがままに絵が描けるペンと、アイデアが無限に湧き出る本、どちらかひとつを貰えるとすれば、どちらを貰いますか?

  またその理由があれば教えていただきたいです。

 

T:アイデアが無限に湧き出る本の方ですかね。涌き出るアイデアを自分でサンプリングして、繋ぎ合わせて新しいモノを産み出せたら面白そうです。アイデアは多すぎて困る事は無いのでそんな本があったら凄くほしいです。

思うがままに絵が描けるペンの方は多分、手にいれたら絵を描く気持ちがなくなってしまうかもしれないです。笑

僕の場合、作品を描くたびに改善点が必ず出てきます。それを次に繋げているところがあるので、手にいれて完璧なモノが描けてしまった場合、

なんか次に絵を描く気持ちがなくなりそうで、なにより、大事にしている継続性が無くなってしまいそうで怖いですね。

物事は可視化の可否に関わらずチェーンリアクションで繋がっている部分があると思っていて、自分が継続性を持たなければその渦には入り込め

ないと考えています。

そういう意味では僕にとっては手に入れたくないものかもしれません。

 

■とても素敵な時間をありがとうございました!最後に今後の活動予定など何かありましたら教えて下さい。

T:こちらこそありがとうございました。カッコつけて色々と告知とかしたいんですが、もしかしたら僕の絵を使って頂いたアルバムがでるかもくらいです。そのへんの情報は僕のホームページとかTwitterとかチェックして頂けると凄く凄く凄く幸せです。笑

後はもう描き続ける日々です。継続は力なりです。誰か見てくれています。

Da.I君が僕を見つけてくれたように。

 

 

-technos28(テクノスニジュウハチ) プロフィール-

人間の美的感覚を生身で直接出力することを軸において活動。

達磨模様を発光体に調和させるスタイルで作品を展開。

 

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