記憶のピース

我が家はというか、我が親族はそれなりに人数が多く、盆正月に一族が集まったりするものならば、ひと時の音の間がないほど賑やかになる。

普段、静かに暮らしている俺は、正直どっと疲れる。だけど、年に1、2回しかないこの疲れもまた楽しく思えたりもする。こともあるが、基本的に盆正月前になるとこの疲れを想像し、杞憂になる(笑) 

甥っ子姪っ子いとこの子供らが一同に会するこの日、親たちの制御から離れた小さなモンスター達が鼓膜を貫通して脳みそに刺さるような尖った咆哮を上げる。

やつらは、投げる、走る。暴 れ る!

 "カオスの世界の住人達"は咆哮を上げ暴れるものもいれば、おとなしく本を読んでいるようなものもいて、みな同じ血が通っているとはいえ、様々だ。

 

あれ。そこの本を読んでいるあなた。一年前まで同じように叫んでいませんでした? 

うつ伏せになって寝転んだ足を少しバタバタさせて手を伸ばして本を読んでいる。涼し気な顔で。そういえば、あなた少し背も伸びましたね。

 

そんなカオスが家に広がっている中、大人たちは久しぶりにあったことから近況を報告しあう。基本的に、みんな元気だ。

それにしても、ずいぶんと白髪が増えた気がするおじさんおばさん達も、そりゃそうか、もうみんな"おじいちゃん""おばあちゃん"、だもんな。うちの親もそうなんだよな。

独身の俺には「親」のイメージが強すぎて、"おじいちゃん""おばあちゃん"という風にはまだ見れないな。

 

近況報告を終えた大人たちが次に話すことは昔話や思い出話だ。

親や、おじさんおばさん達が、亡くなった祖父や祖母の話を聞かせてくれる。

よく聞かれる話は母方の祖父祖母の話だ。語り手は母たち4人姉妹。

母方の祖父祖母は、所謂波瀾万丈な人生を送っていたそうで4姉妹から語られる「記憶のピース」で、遠い記憶の中にある祖父祖母の姿を徐々に組み上げて行く。

いつものように母達4人姉妹が語るのは、祖父が戦争に行っていた時のこと 、祖父祖母、母達姉妹がドミニカ共和国に住んでいたときのこと、そのドミニカで祖母がドーナツ屋を開業し手にしたお金でやっと日本に帰ってこれたこと、祖母方の血筋が板垣退助に繋がっていること、実は、母達に異父異母兄弟(しかも外人)がいること。

 

今回、新しく手に入れた"記憶のピース"は最後の「異父異母兄弟(しかも外人)がいること」で、ここ数年同じ話ばかり聞いていた俺には衝撃だった。それは完全にはじめて聞く話だったし、外人にまだ我が一族の血が流れていることが衝撃だった。久しぶりの当たり「ピース」。

『俺が組み立てるパズルの「記憶のピース」には選定基準がある。母達4姉妹の記憶があやふやものは選定外だ。4人がしっかりと覚えているものでないといけない。

だから、話に曖昧さがあった、「祖母方の血筋が板垣退助に繋がっている」ピースは、まだパズルには埋めていない。これが埋まる日があれば、それはそれで物凄い気もするが(笑)』

頭のなかでパチと音がして新たにパズルに埋まっていく。久しぶりの感触。

祖父や祖母はいったいどんな人だったんだろう。年一、二回の楽しみにしては、どうやら奥が深そうだ。


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