シルバー戦記

HLGB暦2015

 

「ハロー帝国」の辺境、その辺境にある「ハローグッバイスタジオの庭」をめぐる争いは数年にわたり続き、ハロー帝国の皇帝「サカモート」は困窮していた。

なぜなら、忌むべき地底帝国「クーサ」による「庭」の侵略範囲が広がり、「惑星グッバイ」の全ての生きものへ危害を及ぼし始めていたからである。

 

「庭」

 

「庭」とは、「惑星グッバイ」に生きる全ての生き物の生命維持に欠かせない神聖なる祭典「バアべキューゥ」が行なわれている聖域である。

地底帝国「クーサ」は、その聖域を手に入れることで「惑星グッバイ」全生命体の生殺与奪権を握り支配することができると考えた。そして地上へ、「庭」へ、兵士を次々に送り込み、後の世に"シルバー戦記"と呼ばれることになるこの争いが起こったのであった。

 

長く続く激しい戦いの影響か、空は割れ、海は死に、大地は裂けていった。刻々と酷くなる世界に、人々は不安や恐怖に包まれていた。

 

"「このままでは民の精神力に限界に訪れ、内乱を起こしかねない」"

 

ハロー帝国の皇帝「サカモート」は、自ら「クーサ殲滅作戦」の指揮を取り、"一振りで10000の兵を滅ぼす神器"「草刈機」を用い、見事クーサ軍を殲滅させた。

しかし、圧倒的な威力を持つ神器「草刈機」は、その威力ゆえ使用者への反動も凄まじく、平和の代償として、皇帝「サカモート」は自身の右半身の機能を失うこととなった。

 

だが、これでようやく「惑星グッバイ」に平和が訪れる。

誰もがそう思っていた。

 

一年の時が過ぎた。

 

「クーサ」は、再び現れた。


「クーサ」は滅びていなかった。再びクーサの兵士が「庭」に現れたのである。

それだけではなく「ハーナ」という、その美しい容姿からは想像できない残忍さを持つ魔獣を引き連れてやって来たのだった。

一年前、滅びたかに思われた「クーサ」は、地中深くにある要塞「ジメン」にわずかながら勢力を残していたのだった。

その「ジメン」の中枢部「セントラル・ジメン」には、「ヨウブン」という"兵士を無限に生みだす"驚異的な機能が備えられていた。地上に平穏が訪れていた一年間、「セントラル・ジメン」は新たに兵士を生み続け、「クーサ」は、侵略の機会を待っていたのだった。

 

- "一振りで10000の兵を滅ぼす神器"「草刈機」 -

 

"「この身、たとえ朽ち果てようとも民のため、この星のため、私はまだやらねばらん。今度こそ必ず。」"

 

皇帝「サカモート」は大いなる代償を受けたその身体で再び神器を手にすることを決めた。

反対する家臣達の制止を振り切り、宝物庫に封印されている神器を手に取ろうとしたその時、一人の男が柱の影から現れた。

 

"「無駄だ。お前がたとえ神器をふるったとしても、「セントラル・ジメン」にある「ヨウブン」を破壊せんことには何度でも奴らは現れる。そして、その神器を持ってしても、あの屈強な要塞「ジメン」の防御壁を破壊することは不可能だろう。だいたい、その杖をついた身体で何が出来る。もはや老いたわしより動けまい。」"

 

"「父上。それでも私はやらねばなりません。あの神器は、ふるえば使用者の身体に大いなる代償が振りかかる。それを私は、私の臣下や民に受けてほしくはない! これは私がやらなければならないことなのです!」

 

"「言っただろう。神器では「ヨウブン」は破壊できない。「ヨウブン」を破壊せんことには勝ち目は無い。せいぜい奴らの防御壁に傷をつけるくらいが精一杯だろう。いいか、よく聞け。」"

 

先代皇帝「リュウジ」は、「惑星グッバイ」にまつわるとある伝承について語りだした。

 

"「古より昔、この「惑星グッバイ」が陥った危機を救った英雄達が居た。その者達はこの星を救った後、この世界とは違う次元にある「センター」と呼ばれる所に移り住んだという。その英雄達は、またこの星に危機が訪れた時のために、我々の祖先にこう言い伝えた。」”

 

"『ちょっとした仕事でも気軽にお問い合わせください 079-282-4000 』”

 

”「その言葉を我々の祖先に残し、「センター」へと消えていったそうだ。」"

 

「リュウジ」は手に持っていた四角い何かを「サカモート」に渡した。


"「これは我がハロー帝国に伝わる「デンワ」と呼ばれるものだ。これは、その英雄達が移り住んだとされる「センター」とこの世界を繋ぐことができると言われている。わしも試したことは無いのだがな。先代からの言い伝えによると、使用者に「サギョウリョウ」という災厄が降り注ぎ、その後、「センター」より現れし英雄がたちまち暗雲を振り払い、必ずや世に太平をもたらすとされている。よくわからない代物だが、言い伝えにある番号をこれに入力するだけで繋がってしまうらしいのでな。簡単に使用できぬようにと宝物庫の奥に封印されていたのだ。」"

 

"「これを使えば...」"

 

「サカモート」は受け取った「デンワ」を見つめていた。

 

「センター」とは。「英雄」とは。果たしてこれを使うことでこの惑星が平和になるのだろうか。この小さな四角い「デンワ」と呼ばれるものは本当にそのような機能を持っているのか。そして降り注ぐ災厄「サギョウリョウ」とは。

 

決断の時は刻一刻と迫っていた。

 

「クーサ」軍による「庭」の侵略範囲が80%を超えようとしていた。

前線に立つハロー帝国兵達も、自らの拠点を守る防衛戦しか展開できず、要塞「ジメン」から次々に現れる「クーサ兵士」と「魔獣ハーナ」を前に、士気は著しく下がり、戦線を放棄し逃げ出す者も現れるなど、帝国軍全体が絶望的な空気に満ち満ちていた。

先に兵士よりこの報告を受けていた「サカモート」は、自ら神器を再びふるうことで戦況を巻き返そうとしていたのだが、「リュウジ」より語られた伝承を聞き、新たな決意をする。

 

"「父上。私はこの国を愛しております。そして、この星も愛しております。私は、愛するこの国の、愛するこの星の祖先達が遺してくれたものを信じたい。」"

 

"「...その「デンワ」を使えるのはこの国の正統後継者ただ一人のみだそうだ。今、この国を背負っているのはお前だ。お前の指をその「デンワ」の丸い部分にかざすと封印は解除される。あとはお前に任せるよ。皇帝。」"

 

「リュウジ」はそう告げて階段を登っていく。出口へと向かう足音が宝物庫に響き渡る。一歩一歩、老いた身体がゆっくりと階段を登っていく。決断の時をカウントダウンするように。

 

"「大丈夫。私は信じている。」"

 

「リュウジ」が最後の段を登る。「サカモート」は「デンワ」に指をかざした。


 

「クーサ」は壊滅した。

 

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